Book Review
原発不明がん診療ガイドライン(改訂第2版)
勝俣 範之
1
1日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科 部長
pp.1649-1649
発行日 2019年8月1日
Published Date 2019/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_1649
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- 文献概要
原発不明がんとは,転移がんのみが見つかり,原発巣が同定できないがんのことである.全悪性腫瘍の0.5~2%程度に発生するとされているため,わが国でも少なくとも,年間5,000人は発症している計算になる.腫瘍内科が確立されていないわが国では,原発不明がんに対する適切な診断や治療がうまく行われていない現状にある.特定の原発不明がんは,治療によく反応するものがある.女性で腋窩リンパ節転移のみを有する腺がんは,乳がんの治療に準じて行われるべきである.また,女性でがん性腹膜炎のみを有し,CA125が高く,消化器原発がんが否定される場合には,卵巣がんに準じて治療が行われるべきである.このがんは,最近では,原発性腹膜がんと定義され,原発不明がんとは扱わない方向にもなってきている.このように,原発不明がんのなかには,特定の治療が奏効し,予後が良好になるグループが含まれているため,適切な診断,そして治療を行っていくことが大切である.残念なことに,原発が見つからないからといって,全身検索を繰り返され,いつまで経っても治療が始められないなどということをよく見かけ,治療開始が遅れ,手遅れになってしまう例も見受けられる.
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