特集 診療力を上げる! 症例問題集
第7章 神経・筋
総 論
代田 悠一郎
1
1東京大学医学部附属病院神経内科
pp.836-839
発行日 2019年4月1日
Published Date 2019/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika123_836
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脳神経領域における診療力=問診と診察による診断力
臨床神経学における「診療力」とは,第一には診断力である.「神経内科疾患は診断できても治療ができない」などと揶揄されていた時代のみならず,さまざまな治療法開発が進んでいる現在でもそれは変わらない.これは一つには,検査所見や画像所見のみでは診断にいたらないことがしばしばあるためである.抗体検査が陽性であっても診断がつくとは限らない,脊椎MRIで変性があっても症状の原因とは限らない,などがその好例といえる.多くの臨床医学領域と同様に,近年では臨床神経学も補助検査や生物学の進歩から新たな知見を得て発展してきた.以後の各論に登場する症例問題を考えるにあたっては,最新の検査技術や生物学的知見を活用することも求められるであろう.それでもなお,臨床神経学における診断過程の双璧をなすのは,神経学的診察による局在診断と,詳細かつ的を絞った問診により推定される病因診断である.この総論では,主に両者の概要を解説する.さらに治療やマネジメントについても,多くの神経疾患に共通すると思われる事項を概説する.
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