特集 診療力を上げる! 症例問題集
第5章 感染症
総 論
冲中 敬二
1
1国立がん研究センター東病院総合内科
pp.736-739
発行日 2019年4月1日
Published Date 2019/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika123_736
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抗菌薬適正使用に向けて
近年,多剤耐性菌の問題が世間をにぎわせるようになってきた.2015年に世界保健総会で薬剤耐性菌対策としてのグローバルアクションプランが採択され,加盟各国に行動計画の策定を要請した.2016年に日本で策定された薬剤耐性対策アクションプランは,2020年までの5年間に取り組むべき6つの分野に関する目標や,その目標ごとに戦略および具体的な取り組みを盛り込んでいる(表1)1).すべての項目が重要ではあるが,実地医家としては “③ 感染予防・管理” や “④ 抗微生物剤の適正使用” がとくに重要になる.④ に関連して2017年には厚生労働省より「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版」2)が公開された.健常人における急性気道感染症や急性下痢症における抗菌薬の適正使用を目的とし,ダイジェスト版も作成されており,外来を中心に活用されることが望まれる.2018年度の診療報酬改定でも「抗菌薬適正使用支援加算」や「小児抗菌薬適正使用支援加算」が新設されるなど,本腰を入れた対策が推進されている.
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