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発症初期に前庭症状のみを呈した延髄内側梗塞
高橋 恵子
1
,
松本 恵
1
,
津田 浩昌
1
1豊島病院神経内科
pp.340-340
発行日 2018年2月1日
Published Date 2018/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_340
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症 例 31歳,女性.
月経困難症に低容量経口避妊薬が開始された.そのほかに既往歴はない.運動中に回転性眩暈・嘔吐が突然発症し,救急搬送された.右定方向性の叩打性眼振以外に,神経学的異常所見はなかった.頭部MRIで,延髄背側の右傍正中に梗塞が検出された(図1上段).頭部MRAで異常所見はなかった.避妊薬を中止し,抗血小板・抗凝固療法が開始された.12時間後,運動・感覚性の左不全片麻痺が出現した.MRIでは,内側毛帯・錐体に梗塞が及んでいた(図1下段).発症3日以内に前庭症状は消失し,14日以内に無症状となった.延髄内側梗塞連続86例の検討では,眩暈56例,眼振38例,嘔気・嘔吐14例がみられ,いずれの前庭症状も発症初期に一過性に出現しているが,その機序は未解明である1).本症例は,正中延髄枝が最先端部から梗塞に陥ったため,発症初期に前庭神経核のみが障害されたことが示された貴重な症例である.
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