連載 教えて! レントゲン 胸部単純X線の(得)目付けポイント
連載開始にあたって
瀧川 奈義夫
1
1川崎医科大学総合内科学4
pp.154-154
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_154
- 有料閲覧
- 文献概要
私が医師になった1988年,入局した岡山大学第2内科(現血液・呼吸器・アレルギー内科)では,chest conferenceなるものが毎週開催されていました.当時の故大熨泰亮助教授や上岡 博先生(第53回日本肺癌学会総会会長)を中心に,結核予防会岡山県支部(現岡山県健康づくり財団)の西井研治先生たちがもってこられるたくさんの胸部レントゲン写真を皆で読影していました.当時のCT画像の解像度は悪かったので,主に胸部単純X線写真と(CTではない)断層写真を中心にしたいわゆる “当てっこ” でした.私たち若造は,テキストの読影方法を参考にしながら鑑別診断をしているはずなのに,大熨先生はしばしば「このレントゲン写真はあのときの○○によく似ているから△△の疾患だ」とおっしゃられていました.それがよく当たるものですから,豊富な経験がものを言う世界だと思っていました.一方,岡山大学と川崎医科大学の先生方を中心に始まった岡山胸部疾患懇話会という “当てっこ” の読影会にもよく参加していました.川崎医大の先生は,レントゲン写真をじっくり読んで鑑別診断をあげ,見事に当てていました.岡大の直感的な読影と川崎医大の正確な読影を両方兼ね備えられればと思っておりました.
私がCTを正確に読む癖をつけたのは,1997年に四国がんセンターで江口研二先生(現帝京大学医学部難治疾患支援学講座特任教授)に出会ってからです.当時はhigh resolution CTがはやってきたころで,細かな読影法を教えていただきこんなに深く読めるのだなと感心しました.
© Nankodo Co., Ltd., 2018