知っていると役立つ泌尿器病理・1【新連載】
連載開始にあたって
清水 道生
1
1埼玉医科大学国際医療センター・病理診断科
pp.274
発行日 2012年4月20日
Published Date 2012/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102772
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近年,医療が個別化(テーラーメード医療)の時代に入り,標的分子の免疫染色や遺伝子発現の解析など,新しい分野における病理診断の重要性が高まりつつある。それと同時にこれまでの病理診断そのものの重要性も再認識されつつある。特に泌尿器病理の中の腎腫瘍の分類は,通常のHE染色や免疫染色のみならず,詳細な分子病理レベルでの診断が必要になりつつあるといっても過言ではない。したがって,臨床医のみならず病理医は,常に最新の情報を収集していくことが大切である。今回の「知っていると役立つ泌尿器病理」の連載では,日常の泌尿器領域においてよく遭遇する疾患を中心に,ときには稀であるが知っておくべき重要な疾患を加えて,その病理所見を中心に毎回1~2症例を呈示していく。また,泌尿器科領域においては,組織診断のみならず,尿細胞診も重要な位置を占めており,必要に応じて細胞診についても盛り込んでいく予定である。
形式としては,実際に病理診断を行っている泌尿器科医や病理医が当然知っておくべき疾患概念,その臨床病理学的事項について臓器ごとに取り上げていく。最初のページで肉眼像や組織像のカラー写真を質問形式で呈示し,次のページでその写真についてどのような所見が認められるのかを詳細に解説し,3ページ目と4ページ目でおのおのの疾患について知っておくべき事項を簡潔に記載するという形式で進めていく。読者は最初のページの写真を見て,まず自分で診断をつけて次のページに進んでいく。次にその解説を読むことにより,自然とその疾患についての知識が整理されていくことになる。
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