Book Review
冷凍カテーテルアブレーション治療ハンドブック
山根 禎一
1
1東京慈恵会医科大学循環器内科教授
pp.1142-1142
発行日 2018年5月1日
Published Date 2018/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_1142
- 販売していません
- 文献概要
カテーテルアブレーションとは,心臓のなか(一部外壁に存在することもあるが)に存在する不整脈の原因部位に対して,カテーテルを用いてそれを破壊する根治治療のことを指す.カテーテル先端から高周波電流を流して心筋の限局した領域(1回の通電で直径5mm程度)を加熱変性させる方法が現在の主流であり,簡単に言えば「心筋を焼いて不整脈を治す」という方法になる.
一方で,それとは対極的な治療方法として1990年代後半から開始されたのが冷凍カテーテルアブレーション法であり,焼灼するのではなく冷凍凝固させて不整脈を根治する.冷凍カテーテルアブレーションが世界的に広く普及することになったのは,クライオバルーンアブレーションによる肺静脈隔離の普及によるところが大きい.これはバルーンを肺静脈入口部に押し当てて閉塞させ,接触した円周上をワンショットで冷凍凝固壊死させるデバイスであり,その効果の高さと技術的ハードルの低さから短期間で世界中に普及しつつある.しかし,現在のところ冷凍アブレーションの原理や特性に関しては,ほとんどの術者が十分な知識をもたずに単なる道具として冷凍アブレーションを使用しているのが実情と言える.冷凍凝固の基礎知識を臨床使用と絡めてわかりやすく解説するガイドブックの刊行を(筆者を含めて)多くの術者が待ち望んでいるところであった.
© Nankodo Co., Ltd., 2018