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心血管エマージェンシーは本来,昔も今もさほど変わらないはずである.しかし,実際にはさまざまなエビデンスの集積やガイドラインの洗練によって,各疾患への対応に変化がみられる.また,疾患の発症から救急隊とのコンタクトまでの間に,その場に居合わせた人が行う初期対応も,AEDの普及などもあり徐々に変わりつつある.そして,ドクターカーや救急車内での12誘導心電図およびその伝送システムといった病院に到着する前に疾患への診断と治療が開始される可能性が広がり,この領域の進歩を実感することができる(図1).
本特集では,まず【Overview】として,心血管エマージェンシーに対するER(emergency room)の役割に焦点を当てている.いうまでもなく,大部分の心血管エマージェンシーにfirst touchするのはERであり,今後の展望も含めて解説されている.一方で,walk inで来院する患者群にも心血管エマージェンシーは確実に存在しており,そういった “一見,重症にみえない” 患者群に潜んでいる心血管エマージェンシーに対応する指針が解説されている.心原性ショックは心血管エマージェンシーにおいてもとくに緊急度が高く,来院後の対応を誤ると救命不可能になる.心原性ショックで来院する心血管エマージェンシーについての概要ならびに大動脈バルーンパンピング(intra-aortic balloon pumping:IABP)等の機械的補助の挿入の適応も解説されている.院外心停止で来院する心血管エマージェンシーを救命することはきわめて難しいが,この重篤な病態に対して経皮的心肺補助装置(percutaneous cardio-pulmonary support:PCPS)挿入の適応とタイミングが解説されている.
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