胸部外科医の散歩道
渋柿とトマト
千原 幸司
1
1静岡市静岡医師会健診センター/静岡市立静岡病院呼吸器外科
pp.406
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu78_406
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十数年前の秋,伊豆の韮山反射炉見学の帰り道に地元の農業祭に車を停めた.ブースに袋詰めの渋柿が売られており,「皮を剝いて干せばおいしい干し柿になるよ」と聞き,やってみたら年の暮れにほんのり甘い干し柿となった.以来,干し柿作りが我が家の歳時記となった.11月に市内のマーケットで数袋買ってきては皮を剝き,紐で固定して物干し竿に架けると数がわかる.ある年,109個(!)あった.煩悩を超えたか,と笑った.翌年,まさかの同数(!)だった.雨が降りそうだと竿を室内に取り込むときに,柿をつるした紐が大きく揺れる.竿の直下で2本を固定したら振幅が減った.紐を柿についているT字の枝に巻くのも手間がかかる.2色の紐がDNAの螺旋状となったロープの螺旋を拡げて,塩基の部位に枝を挾むと楽な作業となった.
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