まい・てくにっく
鎖骨下動脈カニュレーションのコツ
大村 篤史
1
,
岡田 健次
1
,
山内 治雄
2
1神戸大学心臓血管外科
2東京大学心臓外科
pp.502-503
発行日 2021年7月1日
Published Date 2021/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu74_502
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腋窩動脈は小胸筋下を走行するため,小胸筋の起始である烏口突起の位置を体表から確認し,図1のように烏口突起近傍が皮膚切開の外側縁になるようまっすぐに切開する.腋窩動脈は鎖骨側で確保しようとすると深い術野となるため,小胸筋近傍で確保したほうがより浅い術野となり容易である.皮膚切開後,大胸筋を鈍的に剝離し,大胸筋下の脂肪組織および小胸筋を確認する.脂肪組織を触診すると,腋窩動脈の拍動を触知することができる.小胸筋は必要に応じて切離してよい.用手的,鈍的または鋭的に剝離を行い,腋窩動脈のテーピングを行う.これを軽く牽引し,腋窩動脈の前面の層に筋鉤を挿入して牽引すると,周囲は比較的粗な結合組織であるため,剝離すべき組織・層が明瞭となる(図2).以降の剝離は,電気メスによる熱損傷を避けるため,鋭的剝離を多用したほうがよい.胸肩峰動脈などの分枝はすべて結紮・切離しても問題ない.
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