まい・てくにっく
気管支端々吻合のコツと注意点
棚橋 雅幸
1
,
鈴木 実
2
1聖隷三方原病院呼吸器センター・呼吸器外科
2熊本大学呼吸器外科
pp.496-497
発行日 2020年7月1日
Published Date 2020/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu73_496
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気管支端々吻合で留意すべきポイントは,①確実な吻合操作,②吻合部血流の維持,③吻合部緊張の軽減である.肺癌においては縦隔・肺門リンパ節郭清を先行させるが,気管支周囲の剝離操作では気管支周囲の血管を温存し血流維持に努めることが重要である.さらに気管支上皮の血管も損傷せぬよう可能な限り鑷子で気管支断端を摘まないことも大切である.吻合部に緊張がかかりそうな場合は,肺靱帯切離などの授動操作を行う.支持糸を中枢側,末梢側気管支にかけ,吻合時に牽引して減張に利用できるようにしておく.気管支切離は末梢側気管支から気管支長軸に直交する方向でメスを用いて行う.膜様部では腫瘍との距離をみながら収縮することを考慮し,長めに残すよう切離する.断端血流の観点から末梢側気管支は長く残さないようにすべきであるが,短くしすぎると枝が泣き別れになったり,吻合部の緊張が強くなったりするので注意する.腫瘍との距離にもよるが,はじめは末梢側気管支を若干長めに切離し,分岐部との距離,吻合部の緊張を確認しながら適宜追加切除するのもよい方法である.
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