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経右室サンドイッチ法1)ではウシ心膜パッチ(血液接触面)にフィブリン糊A液,フェルト(接着剤接触面)にB液を塗り張り合わせ,15×7.5 cmの硬めのパッチをつくる.後壁例では心後面心膜牽引糸で視野をつくる.穿孔部位をエコー下に確認し,心停止後,左前下行枝(LAD)または後下行枝(PD)と平行に右室側1~1.5 cmで4~6 cmを切開する.肉柱を切断して心室中隔欠損(VSD)を確認し,VSD辺縁の壊疽組織を切除して左室パッチの通り道とする.トリミング後のVSDサイズの4 cm増しの大きなパッチをつくる2).VSD辺縁1(~1.5)cmに運針する.パッチの左室側から右室側,次にVSDを通し,左室から右室にポリプロピレン3-0 36 mm 1/2針を抜く.パッチを左室側において中隔側4針を頭側から尾側に(図1),次に右室側において自由壁側4針を頭側から尾側に運針する(図2a,オリジナルのサンドイッチ法)1,3).自由壁側VSD辺縁が壊疽で運針不能であれば拡大サンドイッチ法(図2b)3)とし,左室自由壁に刺入して15 mm幅プレジェットに針を出すが,パッチを大きくして運針バランスに注意し,刺入部をバイオグルーで補強する.左室パッチの誘導は糸の絡まりに注意しつつ丸めてスイッチバックで左室に入れる.糸によるカッティングに注意してパッチを左室側に圧着し,バイオグルーをVSDとパッチの隙間に用手的に擦り込む.次にVSD辺縁を架橋して強化しつつ欠損を埋め,最後に糸の刺出部をグルーで強化する.辺縁の強度不足例では0.6%グルタルアルデヒド(GA)液で架橋を強化する.過剰な右室パッチは右室閉鎖ラインでトリムする.右室切開は連続閉鎖できれば右室収縮に好ましいが,補強を要する症例が多い.術式選択ではVSDの中隔側辺縁の強度があれば(バイオグルーやGA補強含め),オリジナルのサンドイッチ法が単純であり,自由壁側の中隔辺縁の強度がなければ拡大サンドイッチ法が,心尖部破裂を伴うと破裂処置の追加あるいは経左室サンドイッチ法やinfarct exclusionも候補にあがる.
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