連載 専門医に必要な画像診断技術 (第3回)
2 超音波法―ベッドサイドでリアルタイム情報
経胸壁心エコー(体表エコー含む)
渡橋 和政
1
K. Orihashi
1
1高知大学外科学(外科2)講座
pp.219-223
発行日 2019年3月1日
Published Date 2019/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu72_219
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エコーは,非侵襲的に体内のリアルタイム情報を繰り返し得られるツールで,放射線の被曝もないという特徴がある.胸部外科領域の画像診断ではCTが標準的であるが,救急や集中治療室(ICU)の患者など,移動が困難なためベッドサイドで情報を得る必要がある場合,エコーはしばしば唯一の画像診断となる2,3).自分で情報を集める必要があるため,とかく外科医には敬遠されがちであるが,想定外のことは起こりうるものである.それを「しかたないこと」と考える外科医には,成長は望めない.正確な情報に基づく正しい方針決定は,手術スキルと同等に大切であり,直感のみに頼って治療をすすめるのは目を閉じて刀を振り回すに等しく,合併症を招くことは避けられない.それを補うのがエコーである.最近はスマートフォンサイズのエコーも登場し,エコーは聴診器に近い存在,極論すれば身体診察の一部となりつつある1,2).エコーで確認をせずにブラインドで処置を行い,合併症を招いた場合,今後は責任が問われかねない時代である.本稿では,胸部外科医が修得しておくべき内容をまとめる.
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