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はじめに
がん疼痛は,がんの診断時に20~50%,進行がん患者全体では70~80%の患者に存在する1).そのため疼痛を緩和できるか否かは,がん患者のquality of life(QOL)に大きく影響する.筆者は,緩和ケアチームの専従看護師として活動しており,がん性疼痛のコントロールのなかで,骨転移をはじめとする体動時の疼痛によりactivities of daily living(ADL)の拡大が進まないケースを多く経験しむずかしさを痛感している.がん看護の目標は,患者や家族のQOLの維持・向上を目指すことであり,疼痛が緩和したのかということに加えて,QOLが改善しているかという視点での評価が重要である.さらに患者の全体像の理解を深めたうえで,心理面・スピリチュアルな側面にも目を向け,患者の希望に寄り添った支援をすることが肝要であると日々の実践のなかで体感している.
今回,主治医科のコンサルテーションを受けて,自宅退院を希望しているが,疼痛によりリハビリテーション(以下,リハビリ)が進まない終末期がん患者に,緩和ケアチームとしてかかわった.疼痛が軽減してきているにもかかわらず,リハビリが進まない患者の疼痛マネジメントを見直すとともに,対話のなかで自宅退院がむずかしい現状に希望や目標を失っていることを理解した.そこで,主治医科,緩和ケアチームが参加した多職種ケアカンファレンスを開催し,患者の希望,価値観を共有したうえで,支援の方向性を統一してかかわった.結果として,患者は歩行まではいたらず,自宅退院がかなわなかったが,家族と過ごすこと,できるだけ人の手を借りずに生活することを大切にして患者自身で今後の療養に関する意思決定をすることができた事例を経験したため紹介する.

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