特集 専門・認定看護師を活用して 深まるがん看護
―がん性疼痛看護認定看護師の立場から―効果的な疼痛緩和のために「全人的苦痛」を理解する
宇都 真奈美
1
1北里大学病院看護部
pp.416-421
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100073
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はじめに
皆さんは,臨床で患者と接していてどのようなことに悩んできたでしょうか.さまざまな背景をもつがん患者と接していると,患者は1人ひとりニーズも異なれば苦痛も異なることがわかります.
「苦痛」とは体や心の痛みや苦しみのことをいいます.がんの痛みを抱えた患者を目の前にして,私たち医療者はその苦痛といかに向き合っているでしょうか.緩和する手段をもっているのでしょうか.
私は「全人的苦痛」の意味を知ったとき,衝撃と感銘を受けたことを今でもはっきり覚えています.臨床に出て5年目のことでした.それまで,私は患者の「痛い,痛い」という訴えに患者とともにとまどい,苦しんでいましたが,全人的苦痛を理解することで,目の前にいる患者の痛みの意味を理解したうえでケアしていくことの必要性がわかってきました.患者の言葉の意味や思いが何だったのかを知る手がかりを得ることもできました.本稿では,「全人的苦痛」に注目し,全人的に患者を理解できた事例について紹介したいと思います.
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