新講座 症候からみた腹部エコー検査のこつ
鑑別のポイントと描出のテクニック
全身倦怠感
北畠 秀介
1
,
熊田 卓
1
,
日比 敏男
2
1大垣市民病院消化器科
2大垣市民病院形態診断室
pp.277-280
発行日 2003年3月15日
Published Date 2003/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100500
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はじめに
全身倦怠感とは身体的,精神的に感じる非特異的な自覚症状であり,その程度は客観的に評価することができない.しかしながら臨床上しばしば出会う訴えであり,倦怠感が種々の疾患の初期症状であったり,また倦怠感により各疾患に特異的な症状が隠されてしまうことも多い.また全身倦怠感は“だるい”と表現されることが多いが,時には“疲れる”“やる気がない”といった表現で来院する患者もいるため注意が必要である.いずれにしても,その訴えが生理的なものか病的なものかを考えながら,心的要因の関与も加味して診断を進めなければならない.通常過度の肉体的あるいは精神的労働の後には“疲れ”を感じるものであるが,これは十分な休養をとることによって回復する.したがって,十分な休養にても回復しない疲れ,あるいは適度の労働にても“疲れ”を自覚するときに病的と判断すべきであろう.また,全身倦怠感を主訴として来院する患者の10~40%は慢性疲労症候群であるともいわれており1),これらの原因不明とされてきた病態に,潜伏感染ウイルスの再活性化やサイトカインの産生異常の関与が指摘されている.
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