特集 化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN) ~しびれに悩む患者に,なにができるか~
Ⅲ.症状マネジメント
治療後のケアと多職種連携
今井 洋子
1
Yoko IMAI
1
1日本赤十字社前橋赤十字病院緩和ケア支援室/がん看護専門看護師,がん化学療法看護認定看護師
pp.555-558
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_555
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はじめに
化学療法による末梢神経障害(chemotherapy induced peripheral neuropathy:CIPN)は,蓄積性の症状であるため,治療継続中は急激に改善することはほとんどない.通常は,治療終了後にゆっくりと改善し,その期間は年単位の場合も少なくない.
CIPNは,化学療法終了後の1ヵ月以内で68.1%,3ヵ月後で60%,6ヵ月以降であっても30%に症状が残存している1)と報告されている.卵巣がん患者を対象とした調査では,治療終了後2年までは症状の軽減を認めたが,それ以降は一定の症状が残存し2)慢性的に症状が持続する難治性の障害である.
白金製剤の投与終了後も神経障害が残存・悪化しやすいことが問題となっており,最終投与の数週間後に神経障害を発症することもある3).
長期間持続するCIPNは,患者の日常生活や社会活動に制限をもたらし,身体的・精神的・社会的・スピリチュアルといったさまざまな苦痛を引き起こす.とくに進行期がん患者では,複数の苦痛が絡みあっていることも多く,がん患者の苦痛の緩和においては,身体的側面のみならず心理社会的側面も含めて多面的に評価し,多職種によるアプローチが必要である.
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