特集 私の看護はこれでいいの? ~若手看護師が苦慮する症状マネジメントのコツ~
【各論】 対応に苦慮する症状のマネジメント
放射線による口腔粘膜障害
石原 純子
1
Junko ISHIHARA
1
1静岡県立静岡がんセンター看護部/副看護師長,がん放射線療法看護認定看護師
pp.343-347
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_343
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本稿では,化学放射線療法(chemoradiation therapy:CRT)の事例について述べる.
事例紹介
D氏,70代,男性.切除不能局所進行上歯肉がん(cT4bN0M0).導入化学療法後,根治目的の化学放射線療法(weekly CBDCA+RT: 70Gy/35回)が開始となった.原疾患による開口障害(2横指程度)がある.放射線治療26Gy/13回(化学療法2サイクル目)の時点で,口唇裏,舌側縁部全体,頬粘膜に易出血性の潰瘍が形成された.D氏は「口の中がネバネバして気持ちわるい.痛みがどんどん強くなってうがいもしたくない」と1日2回ハチアズレ®含嗽(アズレンスルホン酸ナトリウム水和物・炭酸水素ナトリウム)を行うのがやっとである.使用中の鎮痛薬は,カロナール®細粒(アセトアミノフェン)1包を1日4回,レスキュー薬:オプソ®(モルヒネ)5 mg/回を1日2~3回.経口摂取量は,楽しむ程度のミキサー食と水分1日500 mL程度.治療開始前にpercutaneous endoscopic gastrostomy (PEG:経皮内視鏡的胃瘻造設術)を行い,エネーボ®1缶+白湯100 mL/日の経管栄養を行っている.
血液検査:総タンパク6.0 g/dL,アルブミン2.7 g/dL,尿素窒素42.7 mg/dL,クレアチニン1.31 mg/dL, C-reactive protein (CRP:C反応性タンパク)12.74 mg/dL,白血球数1,730/μL,好中球数1,350/μL,血小板数4.4×104/μL 血色素量7.2 g/dL.
治療計画画像:図1参照.
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