特集 明日から使える免疫関連有害事象マネジメント ~免疫チェックポイント阻害薬の看護ケア~
第Ⅳ章 免疫チェックポイント阻害薬の薬物動態を知る ~くすりを知ればケアがよくなる~
一般的な薬物と免疫チェックポイント阻害薬の体内動態 ~薬物は体内でどのような運命をたどって効果を発揮し体内から消失していくのか~
鈴木 小夜
1
,
中村 智徳
1
1慶應義塾大学薬学部医療薬学・社会連携センター医療薬学部門
pp.200-205
発行日 2022年2月15日
Published Date 2022/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_200
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はじめに
分子標的治療薬の一種である免疫チェックポイント阻害薬(ICI)によるがん治療は,薬物療法であると同時に免疫療法にも位置付けられ(図1),従来の細胞障害性抗がん薬とは治療戦略も体内動態も大きく異なる.がん細胞表面のPD-L1 (programmed cell death-ligand 1),がん細胞を攻撃する細胞傷害性T細胞表面のPD-1 (programmed cell death-1),CTLA-4 (cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4)という,いずれもT細胞の攻撃力を弱める作用をもつ免疫チェックポイント分子をブロックして免疫力を強めるのがICIであり,具体的には抗PD-L1抗体,抗PD-1抗体,抗CTLA-4抗体である(図2).標的分子と結合する抗体薬であることがICIの体内動態を特徴づける.
本稿では一般的な薬物体内動態の基本概念をベースにICIの体内動態および有効性や毒性との関係などについて概説する.
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