特集 中毒
Part 1 中毒の集中治療に必要な薬理学的知識
1.薬物の体内動態
福本 真理子
1
Mariko FUKUMOTO
1
1北里大学薬学部 臨床薬学研究・教育センター 臨床薬学(中毒学)
pp.521-529
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200409
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中毒診療において,中毒起因物質の血中濃度測定や,その薬物動態パラメータを調べることにより,毒性の程度を予測したり,初期治療や解毒薬投与を選択することができる。本稿では,そのために必要な基本的な薬物動態解析の知識を整理し,中毒診療にどのように活用していくことができるかを解説する。
Summary
●生体内での薬物の動きのことを薬物動態といい,吸収absorption,分布distribution,代謝metabolism,排泄excretionの頭文字をとって,ADME(アドメ)ともいう。
●薬物動態のパラメータは,薬物の血漿中濃度の推移を速度論により解析して求めるが,生体を1つまたは複数の箱(コンパートメント)に単純化して求める。
●細胞膜を通過しやすいのは,脂溶性が高く,タンパクに結合していない遊離型薬物である。また,イオン化しやすい薬物では分子型の薬物だけが通過する。
●平衡状態においては,遊離型薬物は血中濃度と組織内濃度が同じとなると考えられ,タンパク結合率を用いて予測することができる。
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