連載 My Favorite Medicine!! 私が注目している抗がん薬を紹介します 【16】
シクロホスファミド水和物(エンドキサン®)
菅野 かおり
1
1公益社団法人日本看護協会神戸研修センター
pp.620-621
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_620
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どんな薬?
アルキル化薬は,第一次世界大戦中に化学兵器として使用された毒ガスのマスタードガスから開発された薬です.当時,マスタードガスの影響を受けたヒトで,リンパ系臓器の萎縮や造血機能低下がみられたことから,リンパ球が異常増殖する悪性リンパ腫の治療に用いられました.現在では,造血器腫瘍をはじめ多くの固形がんで使用され,主にBリンパ球の増殖を妨げることからリウマチ性疾患やネフローゼ症候群などの自己免疫疾患でも使用されています.
アルキル化薬には,ナイトロジェンマスタード類,アジリジン類,アルキルスルホン酸類,ニトロソウレア類,トリアゼン類,そのほかの6種類があり,シクロホスファミドはナイトロジェンマスタード類に属します.ほかにもナイトロジェンマスタード類にはイホスファミド,メルファランもあります.シクロホスファミドは,旧西ドイツのアスタ・ウェルケ社(現ドイツ バクスター社)によって1958年に合成された薬で,抗がん薬の中でも初期に創薬された薬です.日本では1962年に発売が開始され,いまでも多くのがん種でキードラッグとなっています.
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