第Ⅱ章 総論:がんとエビデンス
がんと遺伝
甲畑 宏子
1
,
三木 義男
2
1東京医科歯科大学生命倫理研究センター
2東京医科歯科大学難治疾患研究所分子遺伝分野
pp.115-120
発行日 2019年2月20日
Published Date 2019/2/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_115
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がんの発症は,加齢に伴いDNA損傷が蓄積することで適切な細胞増殖が制御されなくなり細胞ががん化し腫瘍となる.そのため,人口の高齢化とともにがん発症者数も年々増加している.一方で,壮年世代でのがん発症は仕事や出産・子育てなどのライフスタイルに影響を及ぼし,さらに,社会経済に与えるインパクトも大きい.40歳以上の男性においては,胃がん,大腸がん,肝臓がんが5~6割を占め,40代女性では乳がん,子宮体がん,卵巣がんが約半数を占める(『がんの統計’17』).
全がんにおける遺伝性腫瘍の割合はがん種により差はあるがおよそ数~10%程度といわれており,若年発症,同時性・異時性の多重・多発がんの発症が共通の特徴として挙げられる.以下に,現在までに明らかとなっている各がん種における遺伝学的な寄与について記載する.
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