書評
ヘルニアの外科(第2版)
渡邉 純
1
1関西医科大学下部消化管外科
pp.868
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka87_868
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- 文献概要
本書は,初版の発行から7年を経て,ヘルニア治療を取り巻く臨床・学術環境の変化に対応するべく全面的に改訂された専門書である.柵瀨信太郎先生と諏訪勝仁先生は,日本におけるヘルニア外科の第一人者であり,本書は両氏の深い知見と,分野の最前線に立つ執筆陣によって構成されている.ヘルニアの基礎から最先端の低侵襲手術までを網羅し,初学者から熟練の外科医まで,幅広い層にとって有用な一冊となっている.第2版の最大の特徴は,従来の開腹術に加えて,腹腔鏡手術,特にロボット支援手術を中心とした低侵襲の手術技術の進展をふまえた記述の充実である.最新手技の理論的背景から実践的コツまでが,術野写真や手技図をふんだんに用いて解説されている点は特筆に値する.また,周術期合併症の予防と管理,術後慢性疼痛への対処など,日常診療で直面する課題にも丁寧に向き合っており,外科医の実践力を高める内容となっている.加えて,各章においてエビデンスに基づく記述が徹底されており,術式の選択やメッシュの種類,固定法に関しても,国際ガイドラインや最新文献との整合性が図られている.
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