連載 外科医の私論
専門をきわめる―二兎を追うものは
松原 久裕
1
1千葉大学先端応用外科
pp.1356
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka84_1356
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私は1984年に千葉大学医学部を卒業した.入試に共通一次試験が導入される直前の年で,浪人すると共通一次試験対策をすでに始めている現役生に敵わないので「2浪になる」とまことしやかに脅された.幸運にも現役で合格でき,2浪は免れた.医学部卒業時はまだ初期臨床研修医制度が導入される前で,卒業と同時に外科医をめざし,千葉大学第二外科に入局した.そのとき,将来,自分が食道外科医として専門性を発揮する,あるいは発揮したいとは夢にも考えていなかった.その当時は,現在も基本的にあまりかわっていないが,何にでも興味があり,当時当科で行っていた移植も含めた消化器外科全般に興味をもっていた.臓器の専門性にこだわりは特になく,逆に何でも切りたいと思っていた.
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