Japanese
English
鏡視下手術の進歩――小関節から脊椎まで Ⅰ.脊 椎
第5腰神経重複病変(double lesion)に対する脊椎内視鏡同時進行手術
Tandem operation using a pair of spinal microendoscopes for double lesions of the 5th lumbar nerve
岩﨑 博
1
,
山田 宏
1
H. Iwasaki
1
,
H. Yamada
1
1和歌山県立医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Wakayama Medical University, Wakayama
キーワード:
double lesion
,
tandem operation
,
microendoscopic surgery
,
extraforaminal stenosis
Keyword:
double lesion
,
tandem operation
,
microendoscopic surgery
,
extraforaminal stenosis
pp.39-43
発行日 2020年4月20日
Published Date 2020/4/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei77_39
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
これまで椎間孔部における神経圧迫病変はきわめてまれな病態と認識されてきた.過去にhidden zoneと表現されてきたこれらの部分での圧迫も,三次元MRIや電気生理学的検査により診断が可能となり1~3),決してまれな病態でないことも判明している4).
L5神経根症を呈する腰部脊柱管狭窄症例に対してL4/L5脊柱管内の除圧を施行し,術中所見や術後画像においても除圧が良好であるにもかかわらず術後下肢痛や間欠性跛行が残存する症例を経験することがある.多くの原因の中にL5/S1椎間孔部狭窄に伴うL5神経根症が合併した重複病変(double lesion)の見落としが考えられる.
第5腰神経がL4/L5脊柱管内とL5/S1椎間孔部の2ヵ所で圧迫される重複病変に対して,これまでは2ヵ所の圧迫部位を1ヵ所ずつ順に内視鏡下に除圧を行い,安定した成績をおさめてきた.しかしながら,椎間孔部単独に対する内視鏡下後方除圧術の平均手術時間141.6分に対して脊柱管内および椎間孔部で圧迫を認める重複病変の平均手術時間は217.3分と,手術時間が長くなるという欠点を有していた5).手術時間を短縮することでさらなる手術の低侵襲化を獲得する目的で,第5腰神経の重複病変に対して2人の術者と2つの脊椎内視鏡を用いて行う同時進行手術(tandem operation)を考案したので報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2020