難治性骨折に対する治療
骨癒合促進のチャレンジ ウサギ骨折モデルに対する肝細胞増殖因子を用いた骨折の遺伝子治療
松原 秀憲
1
,
渡邊 孝治
,
高田 宗知
,
野村 一世
,
土屋 弘行
1金沢大学 大学院整形外科
キーワード:
肝細胞増殖因子
,
X線診断
,
ベクター(遺伝子)
,
遺伝学的治療
,
骨折
,
疾患モデル(動物)
,
免疫組織化学
,
RT-PCR法
Keyword:
Disease Models, Animal
,
Genetic Vectors
,
Immunohistochemistry
,
Radiography
,
Genetic Therapy
,
Hepatocyte Growth Factor
,
Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction
,
Fractures, Bone
pp.229-235
発行日 2012年4月15日
Published Date 2012/4/15
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2012339605
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ウサギ骨折モデルに対し、骨折の再生・治癒促進を目的としてヒト肝細胞増殖因子(hHGF)遺伝子を導入し(HGF群)、対照群と比較した。その結果、RT-PCRでは、術後3週でHGF群の間隙部の組織においてのみhHGF mRNAの発現を認めた。免疫組織染色では、HGF群において、術後3週で未分化な細胞、線維芽細胞、骨芽細胞、骨細胞などでhHGF陽性であった。これは術後8週でも継続していたが、周囲の筋組織では両群ともhHGFの発現は認められなかった。また、骨折の修復をX線解析により調べた結果、HGF群では術後4週以降、骨折治癒の促進を認め、術後8週では皮質化も認められ、有意に骨形成が促進していたが、対照群では皮質化を認めなかった。皮質骨濃度、皮質骨面積はHGF群で有意に高く、破断強度、剛性もHGF群で有意に強度が高かった。術後8週では対照群において皮質化、髄腔構造の形成が不十分であったのに対して、HGF群はほぼもとの骨にリモデリングされていた。
©Nankodo Co., Ltd., 2012