発行日 2003年4月25日
Published Date 2003/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2003228232
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単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子(HSV-tk)を挿入したレトロウイルスベクターを作製し,ヒト軟骨肉腫培養細胞株に遺伝子導入を行うと共に,抗ウイルス薬であるガンシクロビール(GCV)を各濃度で作用させた.HSV-tk遺伝子導入で軟骨肉腫の性質に変化はなかった.GCV濃度は,1μMで68%,10μMでは90%の殺細胞効果を認め,低濃度で殆どの軟骨肉腫細胞は死滅した.又,bystander effectの検討として,遺伝子導入細胞と軟骨肉腫細胞を様々な割合で共培養したところ,軟骨肉腫細胞20個に対し1個の割合で遺伝子導入細胞を加えた場合に,非導入軟骨肉腫細胞の80%で細胞死が認められた.次にヌードマウスを用いて軟骨肉腫担癌モデルを作製し,この遺伝子治療の有効性を検討した.GCVの投与5日目より軟骨肉腫の増殖抑制を認め,4週目では非投与対照群と比較して体積が明らかに小さくなった.軟骨肉腫に対する自殺遺伝子を用いた遺伝子治療が有効である可能性が示唆された
©Nankodo Co., Ltd., 2003