発行日 2008年3月20日
Published Date 2008/3/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2008166591
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本研究の目的は、終末期にありながらも治療の望みを懸け、積極的治療を望み続けた患者とのかかわりのなかで「終末期がん患者に対し、生きる希望を支える看護において大切なことは何か」を明らかにすることである。研究方法として、治療方針の転換期であった4つの看護場面を5項目の視点に分類した内容をもとに、看護スタッフによるデスカンファレンスの内容と配偶者に対する半構成的面接により得た逐語録から考察した。その結果以下の4点が重要であった。(1)患者が意思や希望を伝え、自己決定できる環境を整えること、(2)患者の希望を理解した上でそれを尊重し、家族とともに寄り添い支持していくこと、(3)患者がこれまで日常で行ってきたことを大切にしたケアは、今を生きる患者を支えることになる。(4)倫理的問題については多職種を含め慎重かつ十分な議論が必要である。生きる希望は個人によって異なり、また病状によっても変化するため、その時々の希望は何かを知り、それを支持していく柔軟な対応が必要である。さらに患者の希望を奪わないことは大切であるが、患者には真実を伝えた上で、自己決定を支えるためのサポートも重要であることが示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2008