発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2016356571
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症例は58歳女性で、十二指腸潰瘍で入院時にHCV抗体陽性を指摘された。Ib型高ウイルス量のC型慢性肝炎、軽度のALT、線維化マーカーの上昇、血小板減少を認めた。肝生検にてA2/FLと診断した。食事療法と経口薬で糖尿病、脂質異常症を治療し、ペグインターフェロンα2b、リバビリン、シメプレビルによる3剤併用療法を開始した。治療24週目より動悸、全身倦怠感が出現し、甲状腺機能亢進症を認めた。発熱や甲状腺圧痛、眼症状を認めず、甲状腺自己抗体陰性、甲状腺エコーで甲状腺腫大や血流増加を認めなかったことから無痛性甲状腺炎と診断した。β受容体拮抗薬による対症療法で症状は軽快した。IFN療法は完遂し、ウイルス学的著効(SVR)が得られた。甲状腺機能低下症の発症や予後を予測するため甲状腺自己抗体を再検し、サイログロブリン抗体の陽性化を認め、慢性肝炎とともに経過観察中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2016