プライマリケア医もできる! 関節リウマチ診療
バイオシミラー・バイオフリーについて 治療費軽減対策
平田 信太郎
1
,
田中 良哉
1産業医科大学 第1内科学講座
キーワード:
医療費
,
関節リウマチ
,
投薬計画
,
臨床試験
,
治療成績
,
費用節約
,
Infliximab
,
バイオシミラー医薬品
,
休薬
Keyword:
Infliximab
,
Drug Administration Schedule
,
Arthritis, Rheumatoid
,
Clinical Trials as Topic
,
Health Expenditures
,
Cost Savings
,
Treatment Outcome
,
Biosimilar Pharmaceuticals
pp.1195-1201
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2016214752
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関節リウマチ(RA)の治療成績は生物学的製剤により著しく向上したが,同時に医療費の顕著な高騰をきたし,わが国の国家財政を圧迫している.生物学的製剤は高額で,その売上額は全分野のなかでも上位を占めており,少子高齢化が進むわが国では生物学的製剤にかかる医療費の抑制・削減はとくに喫緊の課題である.生物学的製剤による医療費を抑制する方策として,単価を下げる方法(バイオシミラー)と,投与回数を減らす方法(バイオフリー,バイオテーパリング)が候補となりうる.生物学的製剤の後発品はバイオシミラーと呼ばれ,オリジナル製剤と同様に臨床試験の遂行が承認に必要とされる.本邦ではすでにバイオシミラー1製剤が上市されており,さらにいくつかの製剤が続々と開発中であり,先行製剤に対し非劣性が示されている.一方,生物学的製剤によって臨床的寛解に達成した場合,一定の症例では生物学的製剤を減量(バイオテーパリング)または中止(バイオフリー)しても寛解維持が可能であることが示されている.バイオフリー・バイオテーパリングの成績向上には,薬剤減量・休薬後の再燃に関与する因子の解明を要し,これまでに「休薬時の深い寛解」と「発症後早期であること」が示されている.しかし,treat-to-target(T2T)の観点からは治療継続と比べ再燃リスクが高くなるため,減量・休薬には慎重な検討を要する.
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