Focus On
デング熱の国内感染の状況と対策
高崎 智彦
1
1国立感染症研究所 ウイルス第一部
キーワード:
デング熱
,
デングウイルス
,
ウイルス遺伝子
,
蚊科
,
疾病媒介昆虫
,
輸入感染症
,
疾病の流行
Keyword:
Communicable Diseases, Imported
,
Dengue
,
Dengue Virus
,
Genes, Viral
,
Insect Vectors
,
Culicidae
,
Epidemics
pp.463-467
発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2015112963
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約70年ぶりに国内流行が発生したデング熱は,最終的に162名の患者が報告された(2014年52週時点).2014年8月から10月にかけて,東京の代々木公園,またはその周辺で感染したと推定される症例が大部分であった.その媒介蚊はヒトスジシマカであり,かなり多数の蚊に刺された患者がおり,代々木公園に生息するヒトスジシマカが多数であったことが推測される.その原因となったデングウイルスは血清型1型のウイルスであり,遺伝子解析からは同一のウイルスによる流行であったと考えられる.今後のデング熱国内流行を防止する対策としては,媒介蚊の発生を抑えることが重要である.ヒトスジシマカの活動は5月から10月であり,8月がそのピークである.海外からのデング熱輸入症例も8月,9月がピークであり,この時期が国内流行の可能性が高い時期となる.デング熱は突然の高熱で発症し,その症状は,発熱・発疹・痛みが3主徴である.したがって,とくに7月から9月にかけてこのような症状の患者を診た場合は,デング熱を疑う必要がある.
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