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症例は24歳女性で、既往歴は先天性内反足、脊柱側彎症があり、4年前より、膀胱尿管逆流症による末期腎不全で腹膜透析(PD)を導入された。1年前の時点では総Kt/V:2.3(腹膜Kt/V:1.3、残腎Kt/V:1.0)であった。しかし、内服コンプライアンスが不良で、透析不足も認めていたため入院も考慮された。入院2日前より全身倦怠感、頭痛、血圧上昇を認め、自宅休養していたが、入院当日全身の痙攣発作を認め救急搬送となった。GCS13(E3V4M6)、体温36.9℃、血圧180/120mmHg、脈拍120bpm、呼吸数24/分、SpO2は98%(リザーバー6L)、髄膜刺激症状(-)であった。血液および尿所見はWBC 11690/μLと上昇し、BUN 80.4mg/dL、Cre 13.6mg/dL、IP 8.7mg/dLと高値を認め、HCO 3~12.3mmol/L、BE-15.6mmol/Lと著明な代謝性アシドーシスを認めていた。また、BNP 552pg/mLと平時より高値であった。救急外来搬入後も痙攣重積発作を認め、呼吸状態が不安定であったため挿管、人工呼吸管理となった。入院時の頭部CTで後頭葉や側頭葉に低吸収域、頭部MRIでは同部位に高信号域を認め、血圧も高値であったため可逆性後頭葉白質脳症(PRES)と診断した。胸部X線で心胸比が53.8%と大きく、BNPも高値で、循環血液量が増加してることも考えられた。血圧上昇と透析不足による尿毒症状が発作に関連している可能性が考えられ、アムロジピン内服とニカルジピン静注で降圧治療を開始し、腹膜透析のバッグ交換を一時的に6回に増量した。その後、心胸比46.4%、BNP 72.1pg/mLと循環血液量や血圧も徐々に低下、痙攣発作も認めなくなり、第10病日の頭部MRI像では入院時に認められた後側頭葉の高信号は改善していた。腹膜透析のバッグ交換を4回に戻した後も良好な経過をたどり、内服のみで血圧管理も良好となったため第25病日退院となった。
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