糖尿病治療のパラダイムシフト
糖尿病前糖尿病患者の運動療法の理論と実践
松久 宗英
1
1徳島大学 糖尿病臨床研究開発センター
キーワード:
運動療法
,
筋収縮
,
前糖尿病状態
,
糖尿病
,
糖尿病-2型
,
EBM
,
サイクリング
,
治療成績
,
歩行運動
,
ランダム化比較試験
,
最大耐量
,
Glucose Transporter Type 4
,
AMP-Activated Protein Kinases
Keyword:
Bicycling
,
Diabetes Mellitus
,
Diabetes Mellitus, Type 2
,
Exercise Therapy
,
Muscle Contraction
,
Prediabetic State
,
Walking
,
Randomized Controlled Trials as Topic
,
Treatment Outcome
,
Evidence-Based Medicine
,
Maximum Tolerated Dose
,
Glucose Transporter Type 4
,
AMP-Activated Protein Kinases
pp.101-105
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014057546
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運動により骨格筋はIL-6をはじめとするマイオカインを分泌することにより,単に骨格筋の糖利用や脂肪酸代謝を高めるのみならず,全身の代謝状態を改善する.中等度の強度の有酸素運動は,高血糖の改善に有効性が高く,肥満の改善にも限定的であるが有効と考えられる.わが国のJapan Diabetes Complication Studyにおいて,研究開始時の身体活動度がもっとも高い群は,8年間の観察期間でもっとも低い群に比較し,脳卒中の発症頻度および全死亡率が半減していた.中等度の強度の有酸素運動を食後に行えば,運動時間依存性に血糖降下度は強くなるが,隔日に2倍の運動量で行った場合も,1日3分割して行った場合も,いずれも有効であることが示されている.糖尿病治療は個別化,すなわち患者個々に最適な目標を設定し,病態に即した治療を選択することが求められる.運動療法でも,患者の身体的特徴,合併症の程度,さらにアドヒアランスの面から達成可能な具体的目標を設定することが肝要である.
©Nankodo Co., Ltd., 2014