貧血 実臨床に役立つ診療のポイントと最新の知見 貧血の病態 最新の知見を中心に
慢性炎症に伴う貧血の発症機序
風間 啓至
1
,
吉永 健太郎
,
寺村 正尚
1東京女子医科大学 血液内科
キーワード:
Cytokines
,
炎症
,
赤血球生成
,
赤血球老化
,
腸管吸収
,
鉄
,
貧血
,
マクロファージ活性化
,
鉄代謝障害
,
Hepcidins
,
血球貪食現象
Keyword:
Anemia
,
Erythrocyte Aging
,
Erythropoiesis
,
Iron
,
Intestinal Absorption
,
Macrophage Activation
,
Inflammation
,
Cytokines
,
Iron Metabolism Disorders
,
Hepcidins
pp.229-233
発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013260816
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慢性炎症に伴う貧血は鉄欠乏性貧血に次いで多い貧血であり,自己免疫疾患・悪性腫瘍・慢性感染症・慢性腎臓病などにみられ,anemia of chronic disease(ACD)として知られる.ACDのメカニズムは,(1)鉄代謝の異常,(2)赤血球産生の低下,(3)赤血球寿命の短縮などの機序により発症する.ACDの鉄代謝の異常においては,ヘプシジンが中心的役割を果たしており,その増加によって,十二指腸での鉄の吸収低下と網内系細胞からの鉄放出の低下が起こり,結果として血清鉄の低下と貯蔵鉄の増加という"鉄の囲い込み"が起こる.その結果,骨髄への鉄の供給が減少するため赤血球産生が低下する.
©Nankodo Co., Ltd., 2013