発行日 2013年4月1日
Published Date 2013/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013197246
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38歳男。急性骨髄性白血病(AML)が疑われ紹介受診した。軽度の貧血および左歯肉炎と蜂窩織炎に伴う顎下腫脹を認め、検査所見よりDICと診断された。また、骨髄穿刺でAML(M5a)と診断され、染色体分析では正常核型であったが、FLT3遺伝子の重複変異が認められた。DICに対し遺伝子組換え型トロンボモジュリン(rTM)による治療を行った。歯肉炎、蜂窩織炎に対しては抗菌薬を投与後、Ara-Cの寛解導入療法を施行したが寛解は得られず、約1ヵ月後よりFLAGM療法により再度寛解導入を施行した。造血回復時の骨髄穿刺で非寛解であったため、HLA血清完全一致の血縁者をドナーとした末梢血幹細胞移植(PBSCT)を予定した。移植21日前にGOを投与して末梢血芽球は消失した。AMLの腫瘍量を減じた後にAra-C/G-CSF/CY/TBI(肺遮蔽施行)の強化前処置でPBSCT(CD34陽性細胞)を施行した。移植片対宿主病(GVHD)予防にはciclosporin Aと短期methotrexateを、類洞閉塞症候群(SOS)予防にはウルソデオキシコール酸(UDCA)に加えて低用量低分子heparin(LMWH)を50日間投与した。好中球生着はday28に、血小板2万はday26であった。急性GVHDを消化管二認めるも、副腎皮質ステロイド内服と外用薬の併用により改善した。経過中SOSは認めなかった。その後、cytomegalo virus血症に対しganciclovirの投与を行い、外来経過観察1年経過後の現在も寛解を維持している。
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