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症例は73歳男性で、約5年前にIgGk型多発性骨髄腫(MM)と診断されvincristine、adriamycinおよびdexamethasone(DEX)併用療法、melphalanおよびprednisolone併用療法を中心に病勢コントロールを行っていたが、その後増悪傾向となりbortezomibおよびDEX併用療法を開始した。更にその1年後に大腸憩室出血を発症し赤血球輸血を施行した際、human immunodeficiency virus(HIV)感染陽性を認め、HIVおよびMMの治療継続目的に当院紹介となった。初診時、末梢血の白血球分画でCD4陽性リンパ球数の著明な低下および貧血、赤血球連銭形成が認められた。生化学所見で著明な高γグロブリン血症、高LDH血症が認められた。血清MタンパクはIgGk型MタンパクおよびBence Jonesタンパクが陽性、HIV抗体は血清学的に陽性、血中HIVコピー数が異常高値であり、骨髄検査で形質細胞が増加しているのを認め、フローサイトメトリー解析でIgk、CD54、CD56、CD13が陽性であった。MMについてはbortezomib、cyclophosphamideおよびDEX併用療法、HIV感染についてはtenofovir disoproxil fumerate/emtricitabineならびにraltegravir potassiumを施行したところ、HIV感染症コントロールは良好であったもののMMは改善しなかった。約2ヵ月後、MMに対しlenalidomideおよびDEXを開始したところ腹痛、下血が出現したため、lenalidomide単独で投与継続中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2013