発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013133396
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43歳男。38.8℃の発熱が出現し、4日後に両下肢脱力が出現、徐々に進行した。その後、尿閉とともに歩行不可となり入院となった。神経学的に尿閉と対麻痺(下肢近位筋力MMT3、遠位筋力MMT2)を認めたが、感覚障害はなく髄膜刺激徴候も認めなかった。髄液検査はADA 44.8U/l高値で、髄液の培養とPCRを繰り返したが、結核菌は検出されなかった。対麻痺と尿閉から髄膜炎を考えステロイドパルス療法を開始した。また、脊髄虚血の可能性、対麻痺による肺塞栓症予防にヘパリン投与を開始した。傾眠と項部硬直を認め、脳波では後頭部優位の基礎律動8Hzα波と前頭部にもθ波を認めた。頭部MRIで脳表に病的増強効果を認めたため、ヘルペス脳炎や結核性髄膜炎の可能性を考え、ACV、RFP、INH、PZA、およびSMの投与を開始した。対麻痺は第15病日をピークに下肢近位筋力MMT1、遠位筋力MMT0まで進行増悪したが、以後徐々に軽快した。第17病日には意識清明となり、第23病日には肝機能障害のため抗結核薬を一旦中止としたが、第37病日より再開し、RFP、INH、ethambutol(EB)、SMを順次開始した。第79病日に下肢筋力は近位筋力MMT5、遠位筋力MMT3まで回復し、退院とした。
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