発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009320185
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発熱、関節痛、失見当識を主訴とする30歳女性について検討した。頬部紅斑、非びらん性多関節炎、腎障害、精神障害、血液異常、抗Sm抗体・抗核抗体の陽性を認めた。また、末梢血には破砕赤血球が観察され、ADAMTS13活性は0.5%以下、抗ADAMTS13抗体は8.5 Bethesda U/mlであった。血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)合併全身性エリテマトーデス(SLE)と診断された。パルス療法、血漿交換等によりSLEの活動性は若干低下し、TTPの良好なコントロールが得られた。しかし、血小板数(Plt)は低下したままであった。その後、腹満や嘔気などの腹部症状が出現した。フィブリン分解産物(FDP)は57μg/mlに上昇した。腹部CT・内視鏡で粘膜浮腫、内容液の貯留、管拡張不良等を認め、急性腸間膜虚血症(AMI)の発症と思われた。AMIは、TTP合併SLEの治療に際し、念頭に置くべき重篤な合併症と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2009