診療controversy medical decision makingのために 胃未分化型腺癌へのESDはどこまで可能か
慎重な立場から
中村 仁紀
1
,
布袋屋 修
,
矢作 直久
1国家公務員共済組合連合会虎の門病院 消化器科
キーワード:
胃腫瘍
,
腺癌
,
後向き研究
,
未分化癌
,
内視鏡的粘膜下層剥離術
Keyword:
Endoscopic Mucosal Resection
,
Adenocarcinoma
,
Carcinoma
,
Retrospective Studies
,
Stomach Neoplasms
pp.535-538
発行日 2011年9月1日
Published Date 2011/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011320560
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内視鏡治療の進歩に伴い、早期胃癌に対する内視鏡治療の適応拡大が検討されている。胃未分化型腺癌で、(1)粘膜内癌、(2)潰瘍(-)、(3)大きさ2cm以下、(4)脈管侵襲(ly、v)なし、の場合、retrospeciveなデータでは、外科手術と同等の根治成績が得られる可能性が示唆されている。そのため、現在、prospectiveなデータの収集のため、臨床試験が開始されている。しかし、胃未分化型腺癌に対する内視鏡治療では、(1)術前内視鏡診断の困難性、(2)内視鏡治療の技術面の問題、(3)病理診断の問題、(4)エビデンスの問題(現時点ではretrospectiveなデータがあるのみ)などの問題があり、本当に内視鏡治療と外科治療が同等であるか、十分に検証されているとはいえない。現時点で、胃未分化型腺癌に対する内視鏡治療の適応拡大には、慎重な対応が求められる。また、臨床試験の結果が出て、胃未分化型腺癌に対し、内視鏡治療が適応拡大されたとしても、各施設に応じた適応を決める必要がある。
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