診療controversy medical decision makingのために 胃未分化型腺癌へのESDはどこまで可能か
推進する立場から
三島 利之
1
,
長南 明道
1仙台厚生病院 消化器内視鏡センター
キーワード:
胃腫瘍
,
リンパ行性転移
,
腺癌
,
治療成績
,
未分化癌
,
内視鏡的粘膜下層剥離術
Keyword:
Endoscopic Mucosal Resection
,
Adenocarcinoma
,
Carcinoma
,
Lymphatic Metastasis
,
Stomach Neoplasms
,
Treatment Outcome
pp.531-535
発行日 2011年9月1日
Published Date 2011/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011320559
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胃未分化型腺癌へのESDの可能性について述べた。外科切除例の検討より、2cm以下のUL(-)(潰瘍成分を伴わない)未分化型粘膜内癌(脈管侵襲陰性)は、リンパ節転移の頻度が0%(95%信頼区間:0~0.96%)であり、粘膜内癌外科術後5年生存率に照らしても、ESDの治療成績は外科手術と同等以上であることが予想される。また、ESD後の長期成績に関する後ろ向き解析では、上記条件に合致する未分化型腺癌で、これまでのところ局所・転移再発・原病死を認めておらず、これらに対してはESDが標準治療になりうることが示唆される。一方、ESDの治療成績が外科手術成績と同等以上であることを示すエビデンスを得るためには、大規模な前向き試験が必要である。また、ごく少数のリンパ節転移例も報告され、未分化型腺癌の臨床上の注意点もあるため、現時点では十分なインフォームドコンセントのもとに、臨床研究として慎重に行われるべきである。ただ、外科手術はまったく安全なものではなく、QOLを損なうものであり、一定のデータが得られていることを考慮すると、過度な慎重さは望ましくないと考える。
©Nankodo Co., Ltd., 2011