発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011186229
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81歳女。約6年前に急性進行性腎炎を発症し、MPO-ANCA陽性、腎生検で半月体形成性糸球体腎炎の所見を認めたため、ANCA関連血管炎としてステロイド治療(PSL)を開始した。症状が改善したためPSLは減量し、以後も経過は安定していたが、今回、頸部痛、手指のしびれ、発熱、炎症反応高値を認め入院となった。頸椎造影MRIで頸髄硬膜に造影効果を認める肥厚病変が存在し、肥厚性硬膜炎の診断でPSLの漸増、NSAIDs併用を行ったところ改善傾向を認め退院となったが、その後頸部痛が増悪し、更に右運動麻痺も出現・増悪したため2週間後に再入院となった。入院後も運動麻痺が進行し、第4病日には両上下肢不全麻痺となり、肥厚性硬膜炎の増悪が疑われた。頸部造影MRIを行ったところ、脊髄硬膜肥厚の著明な進行を認め、第7病日よりステロイドパルス療法を行い、後療法としてPSL内服を開始した。頸部痛は消失し、第23病日の画像検査では硬膜肥厚の著明改善を認めた。両上下肢の運動麻痺は残存するも徐々に改善傾向を認め、現在リハビリ中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2011