発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010082299
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症例は77歳女性で鼻出血と紫斑を主訴に近医を受診、血小板減少を指摘され紹介入院となった。検査所見から特発性血小板減少紫斑症(ITP)と診断、prednisolone(PSL)30~60mg/dayを開始したが4週間後も効果を認めず、dexamethasone大量療法も無効であった。その後大腸憩室からの出血があり血小板を20単位輸血したところ、予想に反し翌日から血小板数が上昇し十分な輸血効果が得られた。そこでITPの診断に疑問が持たれ、再度骨髄穿刺検査にて巨核球の消失が確認されたため、特発性無巨核球性血小板減少症(AATP)と診断された。Ciclosporinを第49病日から5mg/kg/dayで開始したところ血小板数は劇的に増加、骨髄穿刺検査でも巨核球の出現が確認された。以上より、ステロイド不応性のITPでは一度AATPの診断を疑ってみることが必要で、躊躇せず骨髄穿刺検査を再施行することが必要と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2010