発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010107289
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80歳女。糖尿病、僧帽弁閉鎖不全症、心房細動で通院中に自宅にて昏睡状態で発見された。経皮的酸素分圧98%、心尖部にLevin3/6の全収縮期雑音を聴取し、意識はJapan Coma Scale 300で瞳孔は正円同大で左右2mm、対光反射あり、両眼球に振り子様運動を認め深部腱反射はやや亢進していた。血糖値16mg/dlでブドウ糖を静注したが覚醒せず、頭部画像診断から低血糖脳症と診断し、意識状態は改善せず3ヵ月後に肺炎で死亡した。脳MRIの経時的変化では、2時間後のDWIは両側深部白質と海馬に高信号、T2強調像(T2WI)は側脳室周囲と半卵円中心にわずかな高信号を認めた。24時間後のDWIは両側基底核、後頭葉皮質に新たな高信号が出現し脳梁膨大部分の高信号は減弱し内包と視放線の高信号は消失し、T2WIで両側基底核にわずかな高信号、側脳室周囲と半卵円中心の高信号に変化はなかった。14日後のDWIは半卵円中心にわずかな高信号を認めたが60日後には消失し、T1WIは深部白質の高信号と脳萎縮が顕著であった。apparent diffusion coefficientスコアは白質が入院時から24時間まで低値を示し、灰白質は24時間後に低下しその後に改善した。これはDWIの経時的変化を裏付けた。
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