心筋症 診断の進歩と治療のブレークスルー2009
これらの心筋症をどう診療するか 拘束型心筋症
上石 哲生
1
,
磯部 光章
1東京医科歯科大学 循環器内科
キーワード:
胸部X線診断
,
血栓塞栓症
,
心エコー図
,
心筋症-収縮性
,
心臓カテーテル法
,
鑑別診断
,
心電図
,
心不全
,
不整脈
Keyword:
Arrhythmias, Cardiac
,
Cardiomyopathy, Restrictive
,
Diagnosis, Differential
,
Electrocardiography
,
Echocardiography
,
Cardiac Catheterization
,
Heart Failure
,
Radiography, Thoracic
,
Thromboembolism
pp.492-497
発行日 2009年3月1日
Published Date 2009/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009118831
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拘束型心筋症は心筋の拡張障害、すなわちコンプライアンスの低下に伴う心房から心室への流入障害を主病態とする疾患で、頻度は特発性心筋症の中でもまれである。原因として特発性のほかに、二次的に拘束性障害をきたす疾患を含む。本邦における特発例の診断基準では、(1)心室コンプライアンス低下を示す所見(心室拡張末期圧、心房圧上昇など)、(2)心室内腔拡大がなく、駆出率が正常、(3)原因不明の心筋疾患、(4)顕著な心室壁肥厚や非対称性心室中隔肥厚、心尖部肥大を示す症例を除く、と定められている。臨床症状として心不全状態を反映した身体所見がみられるが、右心不全徴候が左心不全徴候に比べ優位である場合が多い。心エコー図、心臓カテーテル検査、CTおよびMRIなどによって、血行動態の点で類似した収縮性心膜炎との区別をつけることが、もっとも重要である。予後は不良である特発例については、確立された治療法はいまだ存在しない。対症療法として、心不全コントロール、不整脈治療、血栓塞栓症予防を行い、難治例であれば心臓移植の適応について検討する。
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