発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008258157
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78歳男。数年前より狭心症、高血圧でnifedipine、isosorbide、indapamide、brotizolamを投与されていた。今回、うつ病の診断でparoxetine 10mg/日を開始したところ、開始9日目より頭痛が出現し、20日目に傾眠傾向、血清Na低値を来たした。血液生化学検査で肝・腎機能に異常は認めず、血清Naは108mEq/L、血漿浸透圧は224mOsm/Lと低値、尿浸透圧は533mOsm/L、尿中Na濃度は86mEq/Lと高値であった。抗利尿ホルモンは抑制を認めず、血漿レニン活性は高値であった。Schwartz & Bartterの診断基準により抗利尿ホルモン不適合分泌症候群と診断し、原因として薬剤、特にparoxetineを疑った。内服薬をすべて中止し、水制限と3%NaCl、furosemideの投与により血清Na濃度の補正を行った。入院5日目には血清Na値139mEq/Lとなり治療を中止したが、翌日131mEq/Lと再度低下したためdemeclocycline 600mg/日を2週間投与し、その後退院となった。退院後paroxetine以外の薬剤を再開し、血清Na値の異常はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008