発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2016271196
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症例は81歳女性で、高血圧で通院中であった。胸痛、食思不振、肩凝りが出現し、血液検査するもとくに異常を認めなかった。症状が持続し、心エコーを施行したが異常を認めなかった。全身倦怠感が出現し、食事摂取も困難となった。著しい低Na血症を認め、入院した。白血球数増加、尿酸の低下、血清NaとClの高度低下を認めた。尿よりアセトン体を検出した。尿中浸透圧は正常値であったが、血中浸透圧は低下し、ADHの上昇がみられた。胸部X線では肺野に炎症瘢痕の散在と右下肺の胸膜癒着を認めた。全身CTでは肺野に炎症瘢痕の散在と気管支拡張症を認めた。ADHが高値であり血中浸透圧低値、尿中浸透圧正常であることからADH分泌異常症候群と診断し、生理食塩水の点滴を開始した。第7病日にはNaはほぼ正常値に回復し、ADHは第9病日に正常値へ推移した。頭部MRIを施行し、下垂体前葉に腺腫を認めたが、視床下部ホルモン4者負荷試験で特に異常所見は認めなかった。
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