発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2006094795
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喘息の危険因子には,個体因子と環境因子がある.環境因子は,喘息の素因をもつ人の発病に影響を与える因子と喘息患者において喘息発作を誘発したり症状を持続させる因子とに大別される.環境因子の中でもっとも重要なものは,室内アレルゲンのダニである.室内塵中のDer1量が2μg/g dust以上で感作され,10μg/g dust以上で喘息が発症する.ダニアレルゲン曝露の回避のための環境整備の効果は,小児では有効という多くの報告があるが,成人では,単一の手段としては無効であるとの報告がある.ペット飼育と感作,喘息発症との関連については,最近否定的あるいは逆に飼育が感作,喘息発症を抑制するという研究も少なからず報告されている.アレルギー・気管支喘息病態におけるTh1/Th2バランスのTh2への偏倚説に裏付けられた衛生仮説(hygiene hypothesis)の登場により,呼吸器感染症罹患が危険因子かあるいは防御因子なのかについては,わが国での検証が待たれる
©Nankodo Co., Ltd., 2006