発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2006078112
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39歳女.患者は全身倦怠感,息切れが出現し,貧血が指摘された.骨髄穿刺検査により骨髄異形成症候群(MDS)と診断され,その後も貧血の進行が著しかった.鉄欠乏性貧血に一致する所見であったが,骨髄系,巨核球系に明らかな異形成や出血源は認められず,故に頻回の輸血を要する貧血の説明ができないため,自己瀉血による虚偽性貧血の可能性も考えられた.そこで,患者の所持品検査を施行したところ,注射器をはじめ翼状針,消毒用アルコール,綿球などが見つかった.精神科医と今後の対応を十分協議し,貧血者に対する同一化を背景に見捨てられた不安から自己瀉血を行うに至る精神的病理構造が形成されたと考えられた.精神科的カウンセリングを重ね,現在まで虚偽性貧血の再発に至っておらず,造血機能も正常化している
©Nankodo Co., Ltd., 2005