発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2005134941
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
78歳男.意識消失を伴う著明な起立性低血圧を認めた.入院時検査では低Na血症を認め,低Na血症にも拘わらず抗利尿ホルモン(ADH)および尿中Na濃度が高値で,血漿浸透圧が低く,それに比して尿浸透圧が高いことから,低Na血症は抗利尿ホルモン不適当分泌症候群(SIADH)によるものと診断した.入院後も意識消失発作を来たし,第7病日には血清Na濃度109mEq/lと低Na血症も進行したため,ベッド上安静臥床として起立性低血圧を予防し,飲水制限,Na負荷を行った.第20病日には血清Na濃度,血漿ADH濃度は正常範囲となり,SIADHは消失した.28病日にhead-up tilt testを施行したところ,起立性低血圧をきたし意識消失発作が認められた.原因として薬剤の関与が疑われたため,enalapril,spironolactone,digoxin,verapamilを中止した.その後は起立性低血圧はなくなり,35病日のhead-up tilt testも正常反応となった
©Nankodo Co., Ltd., 2005