特集 骨ミネラル代謝と疾患
ナトリウムと骨 低ナトリウム血症と骨折
椙村 益久
1
1名古屋大学 大学院医学系研究科糖尿病・内分泌内科学
キーワード:
Arginine Vasopressin
,
Sodium
,
ビタミンD欠乏症
,
活性酸素
,
ADH不適合分泌症候群
,
骨折
,
骨粗鬆症
,
骨密度
,
低ナトリウム血症
,
培養細胞
,
破骨細胞
,
リスク
,
歩行困難
,
Thiazides
,
Tartrate-Resistant Acid Phosphatase
Keyword:
Tartrate-Resistant Acid Phosphatase
,
Arginine Vasopressin
,
Cells, Cultured
,
Inappropriate ADH Syndrome
,
Hyponatremia
,
Osteoporosis
,
Osteoclasts
,
Risk
,
Vitamin D Deficiency
,
Reactive Oxygen Species
,
Bone Density
,
Thiazides
,
Fractures, Bone
,
Mobility Limitation
,
Sodium
pp.7-14
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.19020/J02201.2017161093
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低ナトリウム(Na)血症は,もっとも頻度が高い電解質異常疾患である.近年,慢性低Na血症が生命予後の悪化と関連することが知られてきた.その一つの原因として,低Na血症と骨折との相関に関する報告が増えてきている.従来,低Na血症では歩行安定性が低下し転倒のリスクが高くなり骨折が増加すると考えられているが,われわれは,疫学的検討より低Na血症が骨粗鬆症を起こすことを見出した.その機序として,SIADH動物モデルと細胞培養を用いた検討より,低Na血症が破骨細胞の活性化を引き起こすことを見出した.低Na血症は高齢者で頻度は高く,超高齢社会を迎える日本において低Na血症による骨粗鬆症の研究はますます重要性が高くなると考えられる.本稿で,最近の疫学研究を紹介するとともに,低Na血症が骨粗鬆症を引き起こす機序について概説する.
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